午前中のケーススタディを終え、午後は環境ジャーナリストである枝廣淳子さんを中心とした講義です。
取材や執筆、通訳などのご経験をお持ちの枝廣さんには、
前回のあすびと塾実践編で「高校生が伝えるふくしま食べる通信(以下、こうふく通信)」の
編集会議・取材にも同行していただきました。
前回からおよそ1ヶ月半の間、編集部員の高校生たちは取材をもとに記事を書き、
事務局と修正のやり取りをしてきています。
今回は取材の振り返りやインタビューの練習、自身の関心ごとの3分間スピーチなどを通して、
「伝える力」と「聞く力」について学んでいきました。
※「こうふく通信」とは、福島県内の生産者を取材した食材の付録付き情報誌です。
高校生のためのオープンスクール(現あすびと塾)に参加していた高校生から始まり、
一般社団法人あすびと福島が事務局として伴走しています。
伝える難しさを実感
まずは前回のあすびと塾で須賀川の梨農家・渡辺果樹園さんを取材した3名より、振り返っての感想を。
「情報だけじゃなく、気持ちまで一歩突っ込んで訊こうと思いながら取材した。
帰りの電車では、自分のページの役割についてほかの子と相談しながら、悩んで書いた」
「枝廣さんのように次々と質問を出すのが難しかった。
また取材を終えてから、放射能については基礎知識がなく分からなかったという人もいたので、
伝える難しさを改めて感じた」
「読者の顔が見えないので、一方通行にならない伝え方にしないとと思いながら書いた。
紙面で事実を伝えながらも、双方向性のやり取りにしていきたい」
取材前には枝廣さんに「人が感動するのは、驚きや共感をするとき」と教わり、
初めて知ることやストーリーを意識して取材に臨んだ高校生たち。
インタビューの仕方だけでなく、いざ書く段階で「伝える」ことにも難しさを感じたようです。
枝廣さんからは、今の感想の発表でも伝わりやすくするポイントがあるとの指摘もいただき、
・友人との会話での言葉遣いと区別する
・一文を短くして、それを重ねていく
・話の地図を見せる(ラベリング。「○○について、3つ話します」等)
といったことも教わりました。
聞き出すのではない。「純粋な好奇心」を全身で伝える
さらにインタビューの仕方でも、純粋な好奇心を持ち、目の輝きや相槌でそれを伝えると良いとのこと。
「聞き方」「伝え方」のポイントを学んだところで、今度は3人ずつのグループになり、
編集部員にもう一度こうふく通信についてのインタビューをしていきます。
枝廣さんに教わった、「インタビューは、過去・現在・未来の時間軸で訊く」というアドバイスも頭に置きながら、
「次の取材で頑張りたいことは?」などの質問も聞こえてきました。
その後も「Yes,Noで答えられる質問はしないほうがいいですか?」と
インタビューをする際の問いかけ方ついて質問が出るなど、
普段のコミュニケーションでも活かせる学びが得られた様子。
最後には一人2分間ずつ、自分の関心事や関わっているプロジェクトを伝えるスピーチで締めくくり。
はっきりとした声で名前を言うことに始まり、「みなさんは知っていますか?」という問いかけで引きつけるなど、
1日の間に伝える力の伸びを感じられました。
また、今度英語のスピーチコンテストに出場するという高校生もスピーチを披露してくれました。
5分間にわたる英文でのスピーチですが、気持ちを表すように抑揚をつけるなど、努力のあとが感じられる完成度です。
枝廣さんからも、「気持ちだけでも、内容だけでもダメ。スピーチを録音して書き起こすことで、
より聞きやすい文が作れるようになる。スピーチは緊張するだろうけれど、
一歩先に行くための良い緊張だと思って挑戦してみて」とのメッセージがありました。
今回学んだ「伝える力」「聞く力」は、日々の生活や学校、仕事など、様々なシーンで必要とされるでしょう。
高校生たちが自身のやりたいことを実行する上で、いつか役に立ってくれることに期待しています。
次回の高校生あすびと塾は、10月30日(日)に福島市で開催予定です。
詳細は下記、Facebookのイベントページよりご覧いただけます。
ご関心のある方はお気軽にお問合せください。