”あすびと”へ向かって前進する菊地薫乃さん
福島県福島市の県立福島高校を卒業した菊地薫乃さん。
「あすびと塾」そして「高校生が伝えるふくしま食べる通信」メンバーとして、時に苦しみながらも自分自身と見つめる時間を持ち続けました。その結果見えてきた次のステップに向け、4月からは国際基督教大学に進学し、夢を叶えるためのプロセスをひとつづつ歩み始めました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
自分にとっての「あすびと塾」や「高校生が伝えるふくしま食べる通信」
「あすびと塾」は私にとって、自分のことを深堀りしていく場でした。塾は、自分の思っていることを言語化して、伝える。さらに、それが誰からも否定されないという、安心感のある場でした。自分がもやもやしていることも、言葉にしてみると心が軽くなりましたし、他の人の意見や想いを聞くことで、自分も頑張ろうと前向きな気持ちになれるような、いわば「リセットできる」場だったかもしれません。
そして「高校生が伝えるふくしま食べる通信」は、福島の現実を知ることができた貴重な経験でした。全国に待って下さる読者さんが何百人もいて、私たちが作ったものに対価としてお金を払ってくれている。「伝えなければいけない」という想いが先だって、視野の狭い記事になってしまうと、読者さんの福島に対する印象そのものになってしまうという責任感もありました。取材をして、原稿を書くプロセスの中で、自分の知らなかった風評の現実、震災の被害を受け止めきれず、泣いたこともあったほどです。でもその経験が、今の進学先にもつながっていると思っています。
「あすびと塾」も「高校生が伝えるふくしま食べる通信」も、私にとって人生を変えてくれた場です。
自分自身の夢、福島との向き合い方
東京の大学に進学しましたが、今のところ将来福島に帰るかはわかりません。でも一方で、福島での経験やそこでの感情が、社会を見るフィルターになっていることは間違いありません。こんなことを仕事にしたい、ということはまだ描けていないのですが「誰かを笑顔にしたい」という漠然とした夢に向かって、自分で仕事を創るなり、自分に合う仕事を模索していけたら、と思っています。
そのために、大学時代をどう過ごせばいいか。
入学してから数か月が経ちますが、大学で福島のことを話す機会がなかなかありませんでした。6月に大阪で地震があったことで、福島での経験を話す機会も増えましたが、自分の中で福島で起きた特殊な事情をどこまで話せばいいか、よくわからない状態です。なぜならそれによって、福島への固定概念を植え付けることにもなりかねないと危惧しているからです。こんな風に逡巡しながらの大学生活ですが、あすびと塾でそうだったように、もっと自分の想いを素直にまっすぐに伝える場が大学の中で見つけられたら、と思っています。
私の2学年上の智香先輩がはじめた食べる通信、高校時代にスーパーサイエンス部でや取り組んでいたうなぎの養殖、先輩の想いを引き継いきたことは、自分自身の誇りになっています。一方で、このままでいいのかな、私も自ら行動に移してみたいなという想いが強くなってきました。せっかく都会に出てきたので、もっと多くの人に伝わる何かをしてみたいという気持ちが今芽生えているので、多角的なものの見方を身に着け、頼れる先輩や仲間とともに、福島、ひいては社会全体にかかわりを持っていけたらという想いです。