福島の震災復興事業をケーススタディとフィールドワークで考えるプログラム
凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)と、株式会社 グロービス(本社:東京都千代田区、代表:堀義人、以下 グロービス)の法人研修部門グロービス・コーポレート・エデュケーション(GCE)、福島の震災復興を担う人材の育成事業を展開する一般社団法人あすびと福島(本部:福島県南相馬市、代表理事:半谷栄寿、以下 あすびと福島)は共同で、2016年2月、東日本大震災で被災した福島の復興支援を題材とした企業向け研修プログラムを開発しました。凸版印刷では、2015年12月に本プログラムを先行的に取り入れ、管理職層を対象に実施しました。
本プログラムの開発にあたり、グロービスはあすびと福島の復興事業についてケーススタディを作成。あすびと福島は、経営状況や課題などの最新情報を提供するとともに、被災地でのフィールドワークなどの活動を受け入れています。凸版印刷では、2013年から、あすびと福島の代表理事・半谷氏の協力のもと、被災地で企業研修を実施。これまでに約200名の社員が参加しており、そのノウハウを本プログラムの設計に活かしています。東日本大震災から約5年が経ちますが、被災地の復興支援を継続していくために、グロービスとあすびと福島は本プログラムを本格的に展開していきます。
凸版印刷が先行して行った本プログラムのケーススタディ(左)とフィールドワーク(右)の様子 © Toppan Printing Co., Ltd.
本プログラムでは、2泊3日の合宿形式で、被災地が直面している社会的課題の現地調査と課題分析、復興事業プランの策定に、実践的かつ臨場感をもって取り組みます。受講者は初日、あすびと福島の復興事業の現状を学び、被災地の復興に向けた新事業を企画・立案します。2日目には、被災地である福島県南相馬市を訪問し、現地の方々との交流を通して復興状況について理解を深め、自らの仮説や復興事業プランを練り込みます。最終日には、自分たちが考えた仮説や復興事業プランを数グループに分かれて議論し、あすびと福島や地元の復興リーダー、自治体の関係者に向けて発表します。あすびと福島や地元の皆さんはそれを受け、新しい復興事業の立ち上げや、現行事業のための情報資源として活用します。
■本プログラムの特長
被災地で進めている復興事業をリアルタイムでケーススタディ化
あすびと福島が実際に進めている復興事業を、グロービスがリアルタイムでケーススタディ化。受講者は、過去の出来事を分析するだけではなく、現在起きている課題に対して、今後どのような解決策を見出せるかを考えます。
ケーススタディとフィールドワークを組み合わせ、実践的に分析や検証が可能
プログラムは2泊3日の合宿形式で実施。グロービスが作成したケーススタディだけではなく、実際に福島県の被災地を訪れ、フィールドワークを行います。これにより、受講者自身が考えた復興事業のプランや分析を、現地の状況に照らし合わせて、より実践的に検証することが可能です。
研修でつくりあげた復興事業プランや分析結果はあすびと福島や自治体で活用
研修中で作り上げた復興事業のプランや分析結果は、研修の成果物で終わらせず、あすびと福島や地元の復興リーダー、自治体関係者に提供し、実際の復興事業で活用します。
■ 今後の動き
凸版印刷は、本プログラムの第2回を、2016年2月29日(月)~3月2日(水)の3日間、凸版印刷の管理職向け研修として実施します。グロービスとあすびと福島は、本プログラムを凸版印刷以外にも、年内に複数社に提供する予定です。凸版印刷とグロービス、あすびと福島は、これらの活動を通じて、社員のスキルアップ、意識の醸成、被災地復興のための新規事業創出などを目指します。
◆凸版印刷
1900年創立の総合印刷会社。セキュア、マーケティング、コンテンツ、パッケージ、建装材、高機能・エネルギー関連、ディスプレイ関連、半導体関連の8つの部門で事業を展開。培った「印刷テクノロジー」を駆使し、お客さまや社会の課題解決につながるトータルソリューションの提供を行っていきます。
グロービスは1992年の設立来、「経営に関する「ヒト」「カネ」「チエ」の生態系を創り、社会の創造と変革を行う」ことをビジョンに掲げ、各種事業展開を進めてきました。「ヒト」の面では、学校法人としての「グロービス経営大学院」ならびに、株式会社立のスクール「グロービス・エグゼクティブ・スクール」「グロービス・マネジメント・スクール」、企業内集合研修事業、「カネ」の面では、ベンチャー企業への投資・育成を行うベンチャー・キャピタル「グロービス・キャピタル・パートナーズ」、「チエ」の面では、出版事業ならびにウェブサイト/アプリ「GLOBIS知見録」により、これを推進しています。
グロービスは東日本震災後に、一般財団法人KIBOWを設立し復興支援に取り組んでおります。また、グロービス経営大学院仙台校にて「東北ソーシャル・ベンチャー・プログラム」を開講する等、復興支援活動に従事してきました。
◆あすびと福島
東日本大震災から1年後の2012年4月、福島県南相馬市で、福島の復興を担う人材の育成を目的として一般社団法人あすびと福島を立ち上げた代表理事の半谷は、自身が南相馬出身であるとともに、大震災前の2010年6月まで東京電力の執行役員(新規事業担当)を務めていました。半谷は、原子力事故への責任と地元の復興に貢献したいという志のもとに、人材育成の本拠地となる南相馬ソーラー・アグリパークを2013年3月に完成させました。そして、地元の小中学生の成長支援からスタートし、高校生や大学生を対象とした社会起業塾を開講し、福島の復興を担う人材の育成に取り組んでいます。この塾から最初の社会的事業として2015年4月、「高校生が伝えるふくしま食べる通信」という食材付き情報誌を創刊しました。一方、福島での人材育成事業を継続する経済性を確立するため、2014年2月から凸版印刷をはじめとする企業の社員研修に役立ちつつ、その対価を経済的な浄財としています。