この夏、高校時代からともに学びを続けている「大学生あすびと会」のメンバーと初めて県外にも訪れるスタディツアーを行いました。
初日の行先は宮城県石巻。まずは東日本大震災当時、津波とそれに伴う火災の被害を受け、震災遺構となった門脇小学校を見学。
当時の様子に思いを馳せながら、感じたことを率直に言語化しました。
午後からは「イシノマキファーム」代表の高橋由佳さんとのセッション。
はじめに高橋さんの活動拠点の「イシノマキホップワークス」を見学。
様々なバックグラウンドの方の就労支援の場にもなっている醸造所は、映画館だった建物をリノベーションした場所です。
地域に愛されていた場所を残しながら、新たな取り組みにも挑戦する高橋さんの姿はとても輝いて見えました。
その後会場を移し、高橋さんの半生と今の取り組み、そこにかける思いについて対話しました。
挫折や苦労を乗り越え、「既存の制度によって社会から取り残されてしまう人にも手を差し伸べたい」と優しくも熱い想いで前進を続ける高橋さん。
医療・福祉の道を進もうとしている学生は、高橋さんの姿から「医療がどう地域づくりに貢献していけるか考えていきたい」と自分の将来に向き合っていました。
2日目は福島県沿岸部に入ります。メンバーの中には中通り出身でほとんど沿岸部に来たことが無い学生も。
改めて、原発事故で時が止まったままの風景や廃炉作業真っ只中の福島第一原発、福島県沿岸部の津波被害に向き合いました。
2017年に避難指示が解除された浪江町では役場職員として活躍されている小林直樹さんと対話しました。
震災直後の混乱の状況から、水素を活用した新しいまちづくりへの挑戦まで、信念をもって取り組まれてきた小林さんの姿から
「どこで働くかよりもどう働くかを考えていきたい」と感想を伝えてくれたメンバーもいました。
さらに、2016年に避難指示が解除された南相馬市小高区の街歩きをした後は小高でデザイン事務所を立ち上げた西山里佳さんと対話しました。
誰もが表現できる場所としてオープンした事務所兼交流スペース「粒粒」の温かい雰囲気の中で、西山さんがUターンして企業に至るまでの想いを伺いました。
大学に進学し、新しい環境での迷いもある学生にとって、西山さんが大切にしている「原体験を共有する」という言葉は大きなヒントになったようで、
「今日見た被災地の様子を大学の友人とも共有し、意見を聞いてみたい」と発言するメンバーもいました。
最終日である3日目はあすびとパークで南相馬市小高区で唐辛子によるコミュニティづくりに取り組んでいる廣畑裕子さんと対話しました。
まず一歩踏み出したことで周りの人が手助けしてくれたと笑顔で語る廣畑さんの姿から、強い力で組織を引っ張るだけがリーダーではないと学生たちは新たな気づきを得ていました。
最後には、3日間の体験を通して感じたことをもとに、改めて、ありたい自分・社会の姿に向き合いました。
大学生たち一人一人が真剣に将来に向き合い、それぞれの率直な想いを話す姿は私たちスタッフも驚くほど頼もしく、大学生たちの今後の成長がますます楽しみになる3日間でした。