このたび、南相馬ソーラー・アグリパークに新しい交流拠点としてセンターハウスが完成いたしました。
着工したのは、今年5月のこと。南相馬市が公募した「交流拠点施設整備事業」に採択され、
およそ半年間かけて工事が進められ、11月28日(月)に、お披露目として、開所式も行われております。
東日本大震災から1年後の2012年4月。
長い時間がかかる福島の復興。それを実現するには、志に満ちた復興を担う人材が必要だと信じ、
「自ら考え行動する」子どもたちを育てるという志のもと、「一般社団法人福島復興ソーラー・アグリ体験交流の会」
(2016年1月より「一般社団法人あすびと福島」)を立ち上げました。
そしてその約1年後の2013年3月にパークが完成し、この3年半、子どもたちの体験学習の場として、
また再エネを活用した復興のシンボルとして、多くの方に足を運んでいただいています。
3年半前、ここから歩み始めた人材育成への道
施設の整備に着手した当時、被災地全域では復旧工事のために建設関係の人材不足、資材高騰が著しい状況で、
私たちのセンターハウスも、資金不足により、やむなく仮設のプレハブハウスでスタートすることとなりました。
とはいえ、少しでも子どもたちに楽しい雰囲気を感じてもらうために、プレハブには子どもたちや地域の皆さん、
そして南相馬のシンボルでもある馬をモチーフとしたイラストでラッピングを施しました。
「場」の完成とともに、一歩ずつ着実に歩みを進め、これまでにご来場いただいた方の数は、のべ1万5000人を超えます。
小中学校や南相馬市との体験学習、視察や企業研修のほか、海外からのお客さまをお迎えしたことも。
地元の方々には研修や交流会の場としてもご利用いただくなど、交流の輪を広げて歩んできました。
面積でいえば、おおよそ高校の1教室より少し広いくらいでしょうか。
60名を超える方々に肩を寄せ合ってご着席いただいたこと、
ときには他施設の会議室をお借りしたこともありました。
水道が1か所しかなく、アルコール消毒液で手を洗浄いただいたり、トイレも仮設のもので多くの皆さんにご不便をおかけしましたが、
いつも楽しく、真剣な学びの場、皆さんが集う復興のシンボルとして、広く全国にも認知いただけるようになりました。
そして私たちは、新たに次の一歩を歩みだそうとしています。
これまでのご縁を、地域の方々にとっていっそう有意義で、発展的な交流の場として広げていく。
そのための新たな「ハード」が、この新センターハウスです。
さらに交流の「ソフト」も整備し、世代や地域を超えたコミュニケーションを促進することで、
子供たちの成長支援と福島の復興に貢献していきます。
地域に親しまれる交流拠点として
施設は以前のプレハブのセンターハウスの約4倍もの面積。
今後は地域の皆さまの交流拠点としても、より開かれた施設を目指して参ります。
新センターハウスの外装は、鋼板の力強さと木目の柔らかさを組み合わせたシンプルなデザイン。
入口はスロープになっており、全館バリアフリー対応です。雨や雪でも安心の風除室もできました。
扉を開くと正面に見えるのは、カウンターデスク。
来訪された皆さんとどこにいてもコミュニケーションが図れるように、オープンな事務スペースでお迎えします。
カウンター横にはキッチンがあり、今後はカフェとしてご利用いただき、
みなさまに一息ついていただけたらとも考えています。
パーク名物・太陽光発電の電気を使ったBLTサンド以外にも、新たなメニューをお召し上がりいただける日がくるかもしれません。
奥には階段教室も。居心地のいい場所を見つけていただければと思います。
ちなみに先日、福島高校1年生のみなさんをお迎えしたときには、あちこちで昼食をとる姿が見られました。
研修や体験教室に使用する交流室には、84名がゆったり座れる椅子と机。
パソコンなどの電子機器につなげる、コンセント付きの机もご用意しています。
白い壁面スクリーンや、5.1chのホームシアター音響設備など、多様な用途にお使いいただくことを想定しました。
部屋の中央をパーテーションで仕切り、2室での利用も可能です。
さらにトイレはバリアフリー仕様。外にはテラスも設けているので、外の開放的な雰囲気のもと、交流していただくこともできます。
ソーラーパネルや小水力発電の体験設備は、目の前に眺められるようになりました。
新しいセンターハウスでは、より安全に、清潔な環境でお過ごしいただけます。
地域の皆さまにお気軽にお立ち寄りいただけるような、開かれた施設を目指して参ります。