”あすびと”へ向かって前進する鈴木敦己くん

  • “あすびと”たち
  • 2016.4.1 Fri
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”あすびと”へ向かって前進する鈴木敦己くん

福島県郡山市の県立安積高校3年の鈴木敦己くん。

2016年3月に高校を卒業しました。

2014年の5月からあすびと福島が運営する「高校生のためのオープンスクール」に立ち上げ期から参加をしてくれた彼が、自身の高校生活を振り返るとともに、今後の人生の目標を後輩たちに伝えてくれました。

 

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中学1年の3月に東日本大震災が起き、その中学時代に出会ったのが東京大学の学習支援ボランティアだ。

東大生が被災地に赴き、学生の長期休みの課題を手伝うなど、今でも続いている取組みで、大学生たちからいろんな話を聴くことができた。例えば、ロケットについて、燃料である液体水素や、発射の仕組みなどを教えてもらった。

そんな大学生たちを見てかっこいいと思い東京大学を目指したのが、安積高校入学の理由だった。

 

安積高校ではさまざまな大学へ進学した卒業生による講演の機会が数多くあった。

僕はその場で「高校でしかできないことは何ですか?」と聞いて周った。

もらった答えの中に自分が納得できるものはなく、大学生になってからでもできると思ったことばかりだった。まずは大学生になるために勉強をしよう、3年間勉強だけをして東大へ入ろう。高校入学当初はそう思っていた。

 

そんな中、高校1年の夏に出会ったのが、福島・中国高校生交流事業「あいでみ」だ。

中学生のときオーストラリアに交換留学生として旅行したことがあったので海外に興味はあった。

しかし、高校1年の12月に中国で見た世界は、自分の想像とは全く違っていた。

上海ではじめて貧困層というものを自分の目で見ることとなり、現地を案内してくれた先輩からも内陸部の超貧困層の話を聞いて感じたのは、ここは外国ではなく「異国」だという感覚だった。何も知らずに生きてきた自分が悔しい、という想いを抱えたまま帰国した。その後も何かしなきゃいけない、という想いは続いた。

 

高校2年の夏にはインドへ行った。インドでは中国よりも深刻な貧困問題も目にした。さらにホームステイした先の家族と、そこで働く家政婦さんの上下関係を見て感じたことがある。それは、みんな同じ人間だという「あたりまえ」のことが忘れ去られているのではないかということだ。

中国の貧困やインドの文化、東北の大震災はある意味表面的で見えやすい問題ではあるが、実は身近にこそ問題は潜んでいるのではないかとも考えるようになった。

 

自分のやりたいことは、小さい頃の出来事が関わっている。
僕は大震災により自分が経験したような思いを今後はしないですむ社会にしたいと思ったことがきっかけでまちづくりに興味をもった。その原体験は小さい頃に自分の住む家を建ててくれた大工さんに憧れたことだと思う。そんな思いから東京大学理科一類工学部を目指し、推薦入学で合格することができた。

 

入試の過程で、東大の先生から聞いた話が印象に残っている。
「昔は人間同士が協力しないと暮らしていけない社会だったが、現在はさまざまな技術革新によって、一人一人が他者と関わらずに生活できる社会になってきた。人の孤立化が進むが、このままでいいはずはない。」
自分は孤立化が進んでいくこの現代社会でなんとかそれに対抗したい。
建築という手段でどう対抗できるのかはまだわからないが、建築をやりながら教育や政治など多方面から社会に関わっていける人材になりたい。

 

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