それぞれが捉えた多様な視点~ケースBから学ぶ本質
毎回2時間、2~3人の少人数で取り組む、あすびと福島の代表自身の事業開発経験をもとにしたケーススタディ。今回も約2週間前に「ケースA」でケーススタディを行った3人の大学生が続編である「ケースB」に取り組みました。
並行して他のグループでもケースBに取り組んでいますが、感じた本質や投げかけられる質問も非常に多様で、あすびと福島のスタッフとしても毎回多くの気付きのある時間です。
特に、社会人としての経験のない大学生にとって、正直なところJヴィレッジのようなスケールの大きな事業を自分に投影して考えるのは難しいと思います。一方で、そこを重ねて考える視点を引き出すことによって、ケースの事象が生きた描写となり、質問も鋭さを増していきます。
今回のセッションも、ケースの本質とは何かという対話を経て、沢山の質問がありました。
「組織内で未承認の案件を自信をもって大丈夫だと言い切れたのはなぜか?」
学生としては、当時の交渉術にリスクを感じたようですが、そこには「腰はひかないけど勇み足をしない」というぶれないスタンスがありました。だからこそ、交渉相手が乗ってきている潮目を感じたら「一緒に皆さんとやっていきたい。本気だ。」という本気度を自らも伝えなければならない、という感性に基づく行動。ちょっとしたからくりのようですが、まずは本気度を共有してもらうことで先方との信頼関係を創り、その後に社内の最終意思決定はこれから、と添えていたというのです。
これが「腰はひかないけど勇み足はしない」というやり方。この順番を逆にすると単なるエクスキューズに聞こえてしまい、リスクは少ないが、交渉相手と新たな関係を創っていくことは難しいのです。
「まだマイナーだった当時のサッカーに目をつけて企画の舵を切ろうと思った時の不安は?」
Jヴィレッジの構想が、日本のサッカーが世界に追い付いていくための推進力になる可能性があったことと、関係者同士の本気度について確信が持てていたから、もはやリスクとしての認識はなかったとのこと。チームを組むとき、組織の中にいる人と人との信頼関係が構築できれば、組織と組織の信頼関係は必ず結べる、と。
「様々な業種と組んで初めてのことに取り組むにあたってのプレッシャーはどう克服したのか?」
代表が常に学生たちに伝えていることですが、自分のやりたいことの延長線上に社会的な価値を生み出せたらいいね、という「本当にそれが自分のやりたいことかどうか」が、プレッシャーを克服するカギになると語ります。
プレッシャーがあっても自分のやりたいことであればやめないし、リスクがあってもそのリスクを小さくしようと手段を変えてでもやろうと思うはずだと。自分がやりたいことを起点にすることで、時にはリスクを冒すことや、それを乗り越えるモチベーションにつながっていると。
ビジネスのケーススタディとして考えると、理解が追い付かない部分もあるかもしれませんが、例えばこれから始まる大学生活での対人関係の築き方や、就職活動などにも活かせる面もあるはずです。今回のセッションが少しでも学生たちの日常生活で一歩踏み出す勇気につながったら嬉しいですね。
そして今回も、我々が考えていたケースの本質以外の部分が掘り起こされた2時間となりました。