見出してほしい、自分の「ぶれない志」
今年度2回目の開催となった「高校生あすびと塾」。通算24回目となった今回は、浜通り・中通り・会津の福島県全域から10名が集まりました。友達に誘われて初めて参加したという1年生、受験勉強の合間に気持ちを整理したくてという3年生など、学年や地域を越えた広がりも出てきました。
今回が2回目の参加となった人も多く、意気込みとして「自分のやりたいことを見定めたい」「周りの意見に飲まれず、自分の意思を大事に参加していきたい」などの声も。積極的に自身の志を深めようという姿勢が感じられるスタートとなりました。
まずはじめに、あすびと福島の椎根よりこの「あすびと塾」の説明です。震災をきっかけに、意を決して代表の半谷と共に団体の立ち上げへ参画した立場から、あすびと福島の活動や人材育成に向ける思いを語りました。
あすびと福島は南相馬に、太陽光発電など再生エネルギーの発電施設を有しています。小中学生に向けた再生エネルギー体験の場を提供していくなかで感じた「このままで、復興を担う人材は育成できるのか」という問い。年齢に応じた学習の方法があると考え、半谷自身がゼロから事業を作り上げてきた経験を活かす「高校生ためのオープンスクール」という形が始まりました。この塾では、社会企業家として事業を生み出せる人材の育成を目指していきます。その上で大切にしているのは、「ぶれない志を持つ」ということ。福島で活躍する人を講師に自身の考えを深め、「やりたいこと」を「仕組み」にする力を身につけてほしいと考えています。
自分にとっての問題意識はどこにある?
高校生達には前半の内容として、「自分がいま持っている問題意識・解決してみたいと思っていること」を考えてもらいました。
ふせんにみるみる書き出されていく、一人ひとりの問題意識の数々。ひと通り出揃ったところで、グループのメンバーと共有します。
「2年生進級にあたり、文系と理系に分かれた。な ぜ、どちらもバランスよくとれる道がないのか」
「発展途上国の支援には、何が必要とされているのか知りたい」
「介護施設、介護師の不足が起きている」
「放射能と放射線の違いが、しっかり伝わっていないと感じる」
「子どもは“知らない人について行くな”と言われるが、同時に“困ったときは人に頼りなさい”とも言われる。なぜ子どもに疑うことを教えるのか、人の繋がりが希薄化しているのでは」
「同級生には自分の可能性をあきらめている印象を受ける。前向きな人を増やしたい」
日常のなか、ふとしたきっかけで感じた違和感や疑問が次々と投げかけられていきます。これに対して、グループ内で質問やコメントを出し合いました。
周囲からの質問によって、ひとりの感じる「問題意識」がみんなのものとして共有されていきます。それぞれの意見を交換していくことで、自身が本当は何を課題と感じているのか、考えがさらに深まっていく様子が見られました。
2年生になり文系を選択しながらも、理系学生との学習範囲の違いが大きいことから違和感を抱いたという、ある高校生。これについては同じ高校生という立場から、それぞれに思うことがあったようです。
「理系を選んで、ひとつの分野に特化するのは良いことだろうか。何のために勉強をするのだろう」
そんな問題意識に対して、3年生の立場からこんなコメントがありました。
「文理にとらわれず、教養として正しい知識を身につけていくことが必要だと思う。ただ、得意があればより人の役に立てる。自分の長所を伸ばすために文系になったのだと思えばいい」
そのほかにも、先輩のファシリテーションのもとで様々な意見が出されました。文系・理系を発端に白熱するやり取り。勉強や将来への思いは、高校生みんなに共通するテーマだったようです。学年や学校の枠を超えて身近な課題を見つめ直すことで、その場にいるメンバーそれぞれが考えを深めていきました。
最後にはグループの中で深まった最終的な課題の意識を、全員の前で発表。課題を認識したきっかけは違えど、“地域コミュニティの活性”や“福島を盛り上げたい”といった言葉が多く聞こえました。
さて後半では、株式会社夜明け市場取締役の松本丈さんをゲストにお迎え。福島県いわき市でまさに“地域コミュニティ”を生み出し、盛り上げる仕掛け人・松本さんに語っていただきました。