8月7日(水)、兵庫県から東洋大付属姫路高校の生徒2名と先生3名が福島を訪れ、あすびとユースたちと一緒に浜通りの視察を行いました。福島県庁職員の方々にご協力いただき、福島イノベーション・コースト構想に関連する施設を共に見学、最後は南相馬ソーラー・アグリパークで意見交換を行いました。
まず訪問したのは浪江町に建設途中の水素製造工場。浪江町の沿岸部にある工業団地でまさに建設が進む現場では、太陽光パネルの架台が敷設されていました。20MW(メガワット)、8000世帯分ほどの家庭の電気をまかなえる大きな発電所で作られた電気が分解され、水素として貯蔵されます。
2020年の東京オリンピックでは、浪江で作られた水素をエネルギーとして水素バスが走る計画にもなっており、蓄電がなかなか難しいエネルギー分野に新たな可能性をもたらすであろう実証実験の現場でした。
その後は国道6号線を南下しながら、避難指示が未だ続く双葉町・大熊町・富岡町、すでに解除されて人が戻りつつある楢葉町などを視察。福島第一原子力発電所も車窓から臨みました。
その後は楢葉町と広野町の境にあるサッカーナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」を視察。廃炉の最前線基地として、芝のピッチに砂利が敷かれ作業員の駐車場となっていた当時の写真を見つつも、目の前のピッチでは少年たちがサッカーの練習に声を掛け合っています。
来年の東京オリンピックでは聖火リレーがこのJヴィレッジから始まることも決まっており、福島の復興を象徴する場も共に体感しました。
最後、南相馬ソーラー・アグリパークに戻ってからの振り返りでは、東洋大付属姫路高校の生徒たちから
「最近は3.11の日しかテレビで見なかったが、実際に来てガラスが割れている家なども見て、まだこれほど被害が残っているのだと分かった。」
「学校で先生から、除染廃棄物の写真を見せてもらっていたが、現地で見るとこんなに大きなものがこれほどたくさんあるのかと驚いた。福島だけの問題ではないので、戻ってから周りの人たちに伝えていきたい」
などの感想がありました。
「福島だけの問題じゃないなと思って、先生方や生徒たちに見てほしいと思った」という先生、それに対して、
「膨大な除染廃棄物を正と負、どう見るか。あれがなければ、復興は進まない。国は30年間は福島県内で保管すると法律で決めた。30年を超えたら、福島の外に持って行くことになっている。まだどこに行くか決まっていないが、先生の仰る通り、福島だけの問題ではない。」
そんな大人たちの言葉を真剣に受け止め、福島に向き合ってくれたようです。
南相馬の高校生たちからも、「遠い高校生の二人が伝えたいと思ってくれているのだから、地元の自分たちはもっと知り伝えていかないと」との言葉がありました。
関西の高校生、先生方からの率直な感想を聞き、イノベ関連の現場も知り、福島の高校生たちにとっても刺激の多い1日となりました。