第25回の高校生あすびと塾は環境ジャーナリストの枝廣淳子さんを講師に、
実践的なフィールドワーク形式で開催。食材付き情報誌「高校生が伝える
ふくしま食べる通信」の取材を通して、話の引き出し方・思いの伝え方の
実践力を磨いていきました。
まず前半は編集会議として、「高校生が伝えるふくしま食べる通信」の
役割や伝えたいこと、取材すべきポイントなどを明らかにしました。
後半は取材の様子をお届けします。
いざ、須賀川の梨農家・渡辺果樹園へ
今回訪れたのは、須賀川市西袋地区にある渡辺果樹園。
「高校生が伝えるふくしま食べる通信」2016年秋号では、
渡辺果樹園の梨を特集します。4代目の喜則さん・佳子さんご夫妻に、
梨の栽培にかける想いを伺いました。
まず説明をしてくださったのは、奥様の佳子さん。年間を通した梨の栽培作業の流れ、
ひとつひとつの作業の注意点や苦労などを丁寧にお話しいただきました。
「春先に寒暖差が激しいと、霜がおりて梨のつぼみがだめになってしまいます。
霜がおりそうな夜に火を焚き、まきをくべながら夜通し歩くこともありました」
(渡辺佳子さん)
取材には好奇心と敬意をもって、できるだけたくさんの話を聞いてくるように。
そんな枝廣さんのアドバイスを思い出しながら、高校生たちは真剣にメモをとっていきました。
さらにお話を伺ったご主人の喜則さんは、梨農家の4代目として須賀川市に生まれました。
しかし後を継ぐ気はあまりなかったところ、佳子さんのあるひとことをきっかけに、
考えが変わったといいます。
22歳で実家に戻り、農業を始めた喜則さん。そこにはともに仕事をする親子ならではの
難しさをはじめ、様々な苦労がありました。
伝えることと、伝わることは違う。伝えたいことはなんだろう
ひとつひとつのエピソードを伺い、実際の現場を見ながら、渡辺ご夫妻の思いや熱意にふれた高校生たち。
取材を終え、最後にページ構成や担当を決めていく編集会議を行いました。
まずは何を軸にするか考えるために、印象に残ったこと・伝えたいことをひとりずつ挙げていきます。
「作業のなかで無駄なことと、かけるべき手間の違いを伝えたい」、
「家族経営から産業へと発展させようとする意気込みを感じた」など、
たくさんのお話を伺うなかでも、一人ひとり感じることは違ったようです。
こうした意見から、今度は読者の目線に立って構成を考えていきます。
枝廣さんからは「伝えることと、伝わることは違う」という言葉もあり、
生産者と読者の距離をつなぐために伝えたいことは何かを突き詰めていきました。
最後には枝廣さんより、取材メモの整理をするようにとのアドバイスも。
「取材した字はその日しか読めません。取材した人の時間を無駄にすることになるので、
すぐにデータにするようにしてください」との言葉に、高校生たちは責任感を持って
編集作業に取り組む姿勢を見せてくれました。
実践的な力を磨きながらのフィールドワークとなった「高校生あすびと塾」。
今後も様々な経験をとおし、自らの志を実行に移す力を身に着けていってくれることを期待しています。